二つの経験

特に変わったことはないので、今日は私の若い頃の話です。


以前にもお話しましたが、二十歳の頃、私はミナミにあるバッタ屋で働いていました。

ミナミと言っても道頓堀とか宗右衛門町じゃなくて、

そこでお仕事をされている人が住んでいるマンションがあるエリアです。


ある日のこと、若い衆3人を引き連れた、ひと目でその筋と分かる方が来店されました。

で、「兄ちゃん、電話貸してくれるか」と。


気さくな感じでしたが、その男の額、ぐちゃぐちゃだったんです。

あとで社長から聞いた話なんですが、おそらく喧嘩をして、ビール瓶か何かの割れたガラスで、

グサッとやられた傷じゃないかと。

ま、とにかく、今まで見たこともない強面の男です。


電話を貸すと、その男は小声で何か話し始めます。

しばらくすると、その声はだんだんと大きくなっていき、私の耳にも届くようになっていきました。


「あ?今どこにおんねん」


「お前、分かってるやろな」


そして最後に、ドスの利いた声でこう叫んだんです。


「殺すぞ、コラァ」


一瞬で店内がシーンと静まり返ります。

皆さんもやくざ映画でそんな台詞を聞いたことがあるかもしれませんが、

本物はね、全然違います。


額がぐちゃぐちゃの男が、コロスゾ、ですよ。

背筋が一瞬でピッて伸びます。


さて、ところ変わってカナダでの話です。

まだ娘が生まれる前のことです。

妻と二人で(ショッピング)モールに行きました。


歩き回って疲れてベンチで休憩していると、

すぐ後ろで30才くらいの男女が言い争いを始めたんです。

私は聞かないようにしていたのですが、妻は聞き耳を立てたんです。


それはちょっとねと思い、私は妻に席を立とうと促します。

でも彼女は、「ちょっと待ってよ」っと小声で囁き、その場を離れようとしません。


男女の言い争いは、どんどんエスカレートしていきます。

英語がよく分からない私でも、ヤバイ雰囲気は伝わってきます。


聞き耳を立て続けている妻でしたが、無理やり手を引っ張ってベンチから離れました。

こっちにも火の粉が降りかかってきたら面倒ですからね。


駐車場へ向かう途中、妻がこう言います。

「さっきの女性、あなたの犯罪歴をばらすとか言ってたわよ」


だ・か・ら、さっさと席を立とうと言ったでしょ。

厄介なことに巻き込まれたらどうすんの?


エレベーターに乗り、B1(駐車場)のボタンを押します。

エレベーターのドアが閉まろうとした瞬間、バッと両手をねじ込ませて無理やりそのドアを開け、

さっきの男が乗り込んできたんです。


エレベーターの中にいるのは、妻と私とさっきの男。

「お前ら、話を聞いていただろ」と低い声で男が言います。


<えっ!?>


続けて、「俺の犯罪歴を聞いただろ」と。


<これ、映画のワンシーン?>


その男はデカいわ、腕にはタトゥーが目一杯入っているわ。


<あかん、これはホンマにヤバイやつや>


ここで妻が言い訳をすると、余計ややこしくなりそう。

妻が喋る前に、私が何か言わなあかん。

で、咄嗟に出た言葉がこれ。


「みー、のー、いんぐりっしゅ」


そしてすかさず妻が、「彼、日本から来たばかりなの」と。


男は私の顔を睨み、納得したのかその場を去って行きました。

ふぅ、怖かった。


あの時の経験が役に立ったのかなぁ。
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